平成27年7月28日 行財政改革等特別委員会

○委員長(高柳東彦君) 
 ただいまから、行財政改革等特別委員会を開会いたしします。
 早速、議事に入ります。
 付託事項の調査を行います。
 当委員会の調査事項は、「区の行財政改革及び地方分権推進に伴う諸問題について総合的に調査し、対策を検討する」こととなっております。
 本日は「東京の自治のあり方研究会」最終報告等について、理事者から説明を聴取いたします。

◎企画経営室参事(岩瀬均君) 
 「東京の自治のあり方研究会」が平成27年4月30日に最終報告を発表いたしましたので、私から、その概要等についてご報告いたします。
 本研究会の設置の経緯でございますが、都と特別区では、平成19年1月に都区のあり方検討委員会を設置し、都区の事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度についての検討を行ってきましたが、特別区の区域のあり方については引き続きの課題とするが、当面都区のあり方とは別に、将来の都制度や東京の自治のあり方について、学識経験者を交えた都と区市町村共同の調査研究の場を設けることとし、その結果を待って必要に応じて議論することとされました。
 これを受けまして、都、特別区長会、東京都市長会、東京都町村会の4団体によりまして、平成21年9月に本研究会が設置されました。
 委員は、資料の表記のとおりであり、学識経験者は一橋大学大学院教授の辻琢也座長のほか6名や、10名の行政実務者です。
 なお、学識経験者につきましては、第1回から最終回まで表記のとおりの6名ですけれども、行政実務者は異動等がありましたので、最終回のメンバーを表記させていただいております。
 資料の「4 これまでの議論」でございますが、平成21年11月から平成27年3月にかけて、15回にわたり開催され、社会状況及び行政需要の変化等のデータを踏まえ、予測される東京の将来の姿として、人口構造、財政状況、福祉・医療など各種の分野について検討を行い、平成25年3月には中間報告がなされました。
 裏面の2ページ目をご覧ください。
 中間報告後は、行政実務者で構成される部会を5回にわたり開催し、更なる検討が必要な事項等について調査研究を行った上、改めて当研究会を開催し、人口動向を踏まえた地域ごとの将来の姿と課題、そして東京の自治のあり方の方向性について、中間報告で整理した都と区市町村の役割分担のあり方、住民自治のあり方、そして効率的・効果的な行財政運営のあり方という3つの論点から議論を行い、最終報告として取りまとめられました。
 それでは、資料の「5 最終報告の概要」をご報告いたします。
 「(1)人口動向を踏まえた地域ごとの将来の姿と課題」の「ア 高齢者の急増と高齢化の進展」についてでございます。
 都内の高齢化は、2030年代中ごろ、平成42年以降急激に進展することが見込まれます。今回添付させていただきました別表の図表1をご覧ください。こちらでも分かりますけれども、特に75歳以上の高齢者増加が著しく、今後40年間で倍増いたします。図表1でも分かるように、2010年(平成22年)を100とした場合、2050年(平成62年)には東京都は215.9という数字になっております。
 また、図表2をご覧ください。2050年(平成62年)時点の高齢化率は、東京都全体で37.6%となっており、特に区部においては急速な高齢化が進展します。しかし、それについては、ばらつきがあり、墨田区、江東区、江戸川区の区東部地域は34.2%で、東京都の中でも最も高齢化率は低くなっているという報告になっています。
 次に、生産年齢人口でございます。図表3をご覧ください。横軸が生産年齢人口の増減、縦軸が高齢者人口の地域別増減となっておりますが、生産年齢人口は東京都の全ての地域が減少し、特に区西部地域や西多摩地区では、2010年(平成22年)から40年間で約4割程度減少することが分かります。区部は地域により大きく異なり、区東部地域では高齢者人口の増加が見られるものの、生産年齢人口の減少は抑制される推計が出ております。
 ここから見られる課題ですが、また2ページ目にお戻りください。将来人口構成から見られる社会保障費の急増、税収入等の減少等、財政環境の変化に伴い、今後都内では現在の行政サービスの水準の維持が困難となる地域が発生することが予測されることから、将来の行政需要の規模や対応力については、大きな差が生じる可能性があると見込んでおります。
 2点目の「イ 高齢者世帯と空き家の急増」についてです。
 将来の姿につきましては、図表の4と5をご覧いただきながらご説明いたします。
 2050年(平成62年)における高齢者単身世帯は、都内総世帯数の約2割を占め、これに老々世帯を加えた高齢者のみが居住する世帯は約3割に達します。
 なお、高齢者単身世帯数の増減は地域ごとに大きなばらつきがあり、図表5のように、特に区部の増加が著しく、とりわけ区中央部、区西南部、区東部は倍増すると推計されています。
 空き家数につきましては、図表6をご覧ください。2008年(平成20年)から2050年(平成62年)の間に倍増し、多くの地域で20%を超えますが、区東部地域では17.3%にとどまり、都において最も空き家率が低い地域となります。
 続きまして、また3ページにお戻りいただければと思います。
 これによる課題でございますけれども、空き家率の上昇で地域での見守り機能が弱くなるほか、治安の悪化を招き、コミュニティの存続が困難となるおそれがあると見込んでおります。
 続きまして、「ウ 東京における少子化の更なる進展」でございます。
 人口流入による社会増及び低出生は、全国の大都市で見られる傾向です。そこで図表7をご覧ください。
 黒線がいわゆる人口問題研究所の推計で、合計特殊出生率が現状のまま、社会移動が平成32年までに段階的に2分の1程度に徐々に縮小し、その後は縮小させた値を一定として推計した場合でございますけれども、総人口は2010年(平成22年)の1,316万人から平成52年には1,175万人まで減少いたします。
 また、地方創生シナリオ①として、出生率が現状のままで、社会移動が均衡状態、つまり社会移動がゼロ、転出入がゼロになった場合でございますけれども、平成50年の人口は約1,000万人まで減少してしまいます。
 ちなみに、地方創生シナリオ②のように、国の長期ビジョンで想定される出生傾向、いわゆる合計特殊出生率が2.07に回復していくと仮定し、社会移動の均衡が図られた場合には、緑の線のように約1,200万人、さらには出生率が国の長期ビジョンの想定のように回復し、今までどおり社会移動があるとすると、人口は更に増え続け約1,400万人まで増える推計をなっております。
 3ページにお戻りいただけますでしょうか。
 これによります課題ですけれども、大都市にあっても重点的・集中的に少子化対策を実施し、低出生傾向の改善が図られない限り、東京は地方とともに消滅しかねないとまとめてございます。
 次に、「(2)東京の自治のあり方の方向性」でございます。
 まず、東京の人口構造は緩やかに変化しており、危機的状況への認識の遅れが懸念されることから、市区町村で危機意識を共有し、適切に対応することが重要であるとされています。
 2点目は東京が地方と共存し、発展していくための東京の役割と責任、世界各都市との競争など、大都市で顕在化する課題に対し、解決の道筋を描き、他の自治体と連携を図りながら、日本の成長と発展を起点として、東京が世界の大都市のモデルとして進化していくことが必要としています。
 また最後に、東京には多様な規模、地域特性があるとしています。
 以上の3つの観点から、東京の自治のあり方について検討し、まとめております。
 1点目は、「(ア)都と区市町村の役割分担のあり方」です。
 地方分権の推進により、事務・権限が移譲される一方で、平成30年度からは都道府県が国保運営を担うなど、新たな役割分担のあり方も示されています。この状況を踏まえ、各地域が抱える課題等を考慮しながら、今後の都と区市町村の役割分担のあり方について検討する必要があるとしています。
 また、平成26年の地方自治法の改正により、連携協約と事務の代替執行が創設されたことから、今後基礎自治体での連携の取組を更に進めるとともに、広域的な自治体による事務の補完等を検討する必要があることから、その際には都内における人口減少や少子高齢化の進展を踏まえ、広域自治体としての都が今後どのように対応するのか検討が求められています。
 さらには、区市町村の地域特性や将来の人口動向、財政環境は地域ごとにさまざまであることから、自治体間が相互に強み、弱みを補完するなど、地域特性を生かした役割分担のあり方についての検討が必要であるとされています。
 4ページをお開きください。
 2点目の「(イ)住民自治(自治の担い手)のあり方」でございます。
 急増することを避けられない空き家を負の遺産として捉えることだけでなく、高齢者福祉などの新たな需要への対応や地域コミュニティの振興・発展を図るための資源として、積極的に活用していく必要があるとしています。
 また、町会・自治会等の活動を基盤とした既存コミュニティを再構築していくことはもとより、新たな担い手としてNPOや企業、ボランティア団体などと協力して新しいコミュニティ形成を支援していく必要があるとしています。
 さらには、空き家や地域の見守りの対応など新たな課題への対応について、全て行政で対応することは困難であることから、住民自らが自治の担い手として役割を果たすことができるように、区市町村は協働の機会の増進に努めることが一層求められるとしてございます。
 3点目は「(ウ)効率的・効果的な行財政運営のあり方」でございます。
 まず、人口減少問題に対して、これまで以上に的確に対応していくことや、将来を見据えた効率的・効果的な行財政運営のあり方を検討することが求められます。公共施設の更新需要や行政需要に適切に対応するため、特に区部においては既存施設の統廃合や積極的な用途転用により、建設・更新経費の縮減を図るなど、更なる行財政運営の効率化を進める必要があるとしています。
 また、変化・増大する行政需要に対し、安定的な行政サービスを提供するため、既存の行政体制の維持にとらわれず、早急に見直しを図る必要があるとしています。
 最後に、区市町村は危機的な状況に陥る前から、合併や連携等、多用な選択肢について地域特性や住民意識を踏まえ検討、判断する必要が求められています。
 ここまでが報告ということになります。
 最後に資料の「6 当面の対応」についてです。
 (1)としまして、区長会としましては、都区のあり方検討委員会を開催し、「東京の自治のあり方研究会」の検討結果を受けるとともに、事務配分の具体化等について検討再開を求めることとし、その旨、東京都知事に申し入れるとしてございます。
 (2)として、また区長会としましても、この報告を受け止め、考え方について今後整理するとしているところでございます。
 以上、報告を終わります。

○委員長(高柳東彦君) 
 ただいまの説明について、何かご質疑、ご意見はありませんか。

◆委員(井上ノエミ君) 
 今回の報告書ですが、2050年には東京都の高齢化率は37.6%になり、相当の高齢化が進展するとあります。しかし、墨田区のある東部地域は東京では最も高齢化率が低い地域となるとあります。これはちょっと意外な気がします。生産年齢人口が減らないからという理由が出ています。この予測の根拠となっている理由について説明してください。

◎企画経営室参事(岩瀬均君) 
 墨田区、江東区、江戸川区の属する東部エリアは、現在、若い世代の人口が増えていることが想定できます。ちなみに、本区の独自分析によりますと、本区は東京圏外から地方の若者が主に大学等の進学や就職等に伴って、交通の便のよさ等により、20歳代の転入が増えております。恐らく、江東区や江戸川区にもそれに近い状況があり、その世代が一定の転出があったとしても、そのまま定住した場合には、2050年には生産年齢にとどまることになると考えております。
 また、東京都の推計や人口問題研究所の予測によりますと、社会移動は今後も完全に収縮しないで、一定の流入が続いていくだろうと想定されていまして、東部エリアでは、高齢化率はこの数字程度でおさまることになるのではないかという推計が出ているのではないかと考えられます。

◆委員(井上ノエミ君) 
 墨田区を含む東部地域では、高齢化率は低いですが、高齢者の単身世帯数は相当増えると予想されています。墨田区では、平成22年の国勢調査では全世帯の10%が高齢者の単身世帯でした。これが相当増えるようです。そうすると、高齢者対策も単身世帯のための政策を充実していく必要があります。
 例えば、住宅の問題もワンルームマンションを活用することができます。また、食事も給食の配布ではなく、コミュニティキッチンのように高齢者が集まって一緒に食事ができるレストランが望ましいと思います。これまでと違った高齢者対策が必要になります。
 そこで伺いますが、2050年には墨田区の高齢者の単身世帯数はどの程度になると予測していますか。

◎企画経営室参事(岩瀬均君) 
 墨田区の高齢者人口等につきましては、現在、基本計画を策定中でございまして、人口ビジョンを策定しておりますので、具体的な数値はこれからお示しできるかと思っております。
 今回の自治のあり方研究会における推計上で墨田区の2050年の単身世帯数がございまして、それによりますとおおむね2万5,000人程度になるのではないかと推計値が出ております。

◆委員(井上ノエミ君) 
 最後に、今回の報告書には、外国人の人口に関してはコメントがありません。日本の国際化に伴って、外国人は相当増えると思います。これは自治のあり方に大変大きなインパクトがあると思います。墨田区における外国人の将来の人口予測のデータはありますか。
 また、将来の自治体のあり方を考えるためには、外国人を抜きには考えられないと思います。今後の調査には、ぜひ外国人の人口予測も入れていただきたいと思います。

◎企画経営室参事(岩瀬均君) 
 私どもで現在策定しております地方版総合戦略及び基本計画の中で人口推計を行っているところですが、委員ご指摘のとおり、本区の場合には外国人数の推計も大変重要だと認識しておりますので、その分析にも着手しています。