◆委員(井上ノエミ君)
都区財政調整についてですが、平成12年に東京都から清掃事業が移管されたときには、配分割合が44%から52%になりました。そして、平成19年に55%になったわけです。東京都から大きな事業が移管されると、それと一緒にお金も必要ですから、もっと配分してもらう必要があります。今大きな課題になっている児童相談所の移管の問題ですが、東京都は相当反対しているのです。
しかし、これは子どもたちの人権を守るためにも、是非実現してもらいたいと思います。現在の江東児童相談所は、墨田区と江東区、江戸川区を担当しています。人口を合わせると140万人もいます。これでは、きめの細かい対応はとてもできません。墨田区として、墨田区の子どもたちのために自分たちの児童相談所を持つべきだと思います。
23区長会は是非東京都と戦っていただきたいと思います。そして、その際には東京都から財源をしっかりもらっていただきたいと思いますが、財源に関してはどうなるのでしょうか。
◎企画経営室長(関口芳正君)
児童相談所の移管につきましては、特別区と東京都の間で「児童相談所のあり方等児童相談行政に関する検討会」を設置しています。昨年まで私もその委員でございました。そして、特別区側の委員として協議してきましたが、東京都は区部の児童相談所の人材や施設等は、都の事業で活用することから人材・施設は移管されないことを前提に検討すべきだという主張をされております。
これに対して特別区側からは、東京都に対して児童相談所を各区に移管するべきだということを求めており、今年の3月には財源につきましても、現行の児童相談所事務の執行に当てられている金額と等しい財源の移譲を求めたところです。
これらに対する都区財政調整上の取扱いなど、具体的な財源措置の方法につきましては、今後の移譲に向けた協議の推移を見ながら、特別区としての考え方を整理し、都区の協議の中で検討していくことにしております。
◆委員(井上ノエミ君)
正式に移管が決まれば、財源の協議になってくるわけですね。その場合に、是非たくさんお金を要求していただきたいと思います。今の児童相談所は、人が足りなくて大変なようです。職員も増やす必要があると思います。そして、本当に子どもたちのためになる児童相談所をつくってもらいたいと思います。是非しっかり勉強してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎企画経営室長(関口芳正君)
私どもは、子どもの最善の利益を求めて児童相談所を各区に設置すべきであるということを求めております。墨田区におきましても、不幸な子どもたちをつくらない、隙間のない支援をしていくべきであると考えており、子育て支援総合センターの機能も充実させていきたいと考えています。財源につきましても、更なる充実に向けて働きかけていきたいと考えております。
現在、庁内に「墨田区児童相談所移管準備検討委員会」を設置しています。この中で今後も更に庁内連携を強化しながら、しっかり研究し対応していく所存でございますので、よろしくご理解ください。
◆委員(あさの清美君)
国においても地方自治体の財政のばらつきを調整して、どこに住んでいても一定の行政サービスが受けられるように地方交付税制度があります。基準財政需要額や基準財政収入額など、基本的な仕組みは都区財政調整制度と同じだと思いますが、大きな違いがあれば教えていただきたいと思います。
また、特別区と都の配分割合について、現行は区が55%で都が45%となっていますが、区としてはこの配分割合が適切なものと考えているのでしょうか。もし適切でないとすれば何%ぐらいにする必要があると考えているのか、教えていただきたいと思います。
◎財政担当課長(渡辺一夫君)
2点についてご質問がございました。
まず1点目は、地方交付税制度と都区財政調整制度の違いです。
ご指摘のとおり地方交付税制度は全国レベルで市町村・都道府県の需要と供給を見据えまして財源調整をする制度です。それと特別交付金の制度は、基本的には同じでございます。一番違うのは、基準財政収入額における地方税との算定方法です。財調は85%ですけれども、地方交付税は75%で算定して、地方に25%の自主財源を認めているところが一番違います。
一方、都区財調制度ではそれを補完するために、基準財政需要額を10%上積みすることで、形としては25%の自主財源を確保するということになっています。
それから、もう1点は特別交付税の割合が6%ということで、都区財調交付金より高くなっています。都区財調は23区の中の調整ですので、財政力に違いがあっても、それほど大きく違いはありませんけれども、全国レベルの自治体の調整をすることになりますと、やはり普通交付税では算定されない部分も多くなりますので、6%と都区財政調整制度より多いのはやむを得ないかと思っています。
それから、もう一つは補正係数が都区財調よりも大変多くなっています。それも地域性の違い、都市部と地方では違いますので、やはり補正が多いことが主な違いとなります。
2点目は区への配分割合が55%で足りていると思うか、足りないと思うなら何%が妥当かというご質問でございます。これは非常に難しいご質問ですが、23区がどこも足りているとは思っていません。
資料22をご覧ください。
これは平成12年度の都区財政調整に当たりまして、東京都が行う大都市事務、いわゆる市町村財源を使ってやる事務がどれぐらいあるかを都と区で試算した資料です。赤い点線で囲まれている黄色の都案で1兆1,964億円となっていますが、区の案では6,803億円で倍近い開きがあるんですね。やはりこの辺の捉え方が違うということです。
本来の都区制度改革は、この辺の認識を一致させて、都が行う事務と区が行う事務にふさわしい配分割合にしなければいけなかったんですけれども、なかなかこの差が縮まらなかったということで、今後都区のあり方検討会の中で都から区への新たな配分事業、移管事業が決まったときには、併せて再度事務配分を見直しましょうという仕切りになっています。
したがいまして、何%が適当かというのは難しいんですけれども、区が明らかに少ないと考えていることは事実です。