◆9番(井上ノエミ君) 私は、みんなの党の井上ノエミです。
私は、今年の夏、生まれ故郷であるボリビアのラパスを訪問してきました。
ラパスでは、人口200万人のラパス市の市長と市議会議長と議員の皆さんにお会いして、墨田区の紹介や交流活動の可能性などについてお話をしてきました。
日本を出る前に出羽議長から、「ラパスと墨田区の交流のために子どもたちのかいた絵を交換するような活動を始めてはどうか」というご提案をいただきました。そこで、ラパスの子どもたちに日本とボリビアの友好をテーマに絵をかいてもらいました。そして、ラパスの小学校1年生の絵を30枚持って帰りました。墨田区の子どもたちからも、絵をラパスの子どもたちに贈りたいと思っています。
また、ラパスの日本大使館を訪問して大使にもお会いしましたが、大使も全面的に墨田区とラパス市の交流を支援してくださるとのことです。今後も私としても墨田区民とラパス市民の交流の活動をしていきたいと思います。応援していただければと思いますので、山崎区長よろしくお願いします。
私のラパス滞在中に、たまたま二つのテレビ局と二つの新聞で私の訪問が報道されましたので、ユニセフの事務所の所長さんから是非会いたいとの連絡がありました。
話の内容は、ユニセフが「Child Friendly Cities Initiative(子どもに優しいイニシアティブ)」という事業を始めているので、墨田区も協力をしてもらいたいという要請でした。その内容は、日本も批准している「子どもの権利条約」という国際条約がありますが、この条約にある子どもたちの権利を守るために、世界の自治体が子どもたちの人権を守る、また、子どもたちのための政策を優先的に実施する「Children First」ということを宣言することです。
議会としては、日本の幾つかの自治体、都内では豊島区などが「子どもの権利条例」を制定しています。
政策としては、子どもを差別しないこと、子どもたちの健康や教育の機会を保障すること、まず子ども第一の政策をとることなどです。
墨田区でも既に子どものための政策は前進していますが、是非ユニセフの「子どもに優しい都市づくり」の運動に参加してもらいたいと思いますが、山崎区長にお伺いします。
次に、学校におけるいじめの問題についてお伺いします。
子どもの権利を守るために、子どもたちの人権が守られることが大事です。
私は、墨田区の子どもたちの人権を守りたいと思います。そのために、これまで昨年の定例会で2回、学校のいじめの問題について質問してきました。昨年11月の定例会では、横山教育長は、「昨年の10月の調査ではいじめが小学校1件、中学校4件あった」というご答弁でした。比較的少ないという印象でした。
ところが、今回、大津のいじめ自殺事件を受けて行われた調査では、何といじめが小学校で19件、中学校で17件、いじめと疑われるケースが小学校で92件、中学校で36件もあるという大変な状況です。この数字を聞いた区民は、墨田区の学校には安心して子どもを送れないと思います。
今、全国で教育委員会が本当に役立っているのか、いじめの対策をまじめにやっているのか、多くの国民が心配しています。
今やるべきことは、いじめと疑われるケースについてすぐに調査して、議会に報告してもらいたいのですが、教育長、いかがでしょうか。
また、登校拒否についても、いじめと関係していると思いますので、墨田区に何人の登校拒否がいるか、その原因は何か、十分な対策を立てているのか、横山教育長にお伺いします。
次に、「相撲」を中心とした両国地域の振興策についてお伺いします。
この5月にスカイツリーが開業してから、大変多くの人が墨田区に来ています。今後は、両国地域にも多くの観光客を集めることを考える必要があると思います。
両国といえば国技館です。両国には、相撲というすばらしい日本の宝物があります。観光客にとっても相撲は大変人気があります。しかし、国技館での大相撲の本場所は1年に3回しか開かれません。残念ながら、それ以外の時期には余り相撲で人を集めることができません。1年を通して観光客を集めることができれば、両国地域にとって大変よいと思います。
それには、相撲を中心とした地域づくりをするのが一番よいと思います。幸い、墨田区には相撲部屋も10カ所以上あります。多くのお相撲さんも墨田区に住んでいます。「相撲のまち両国」というイメージが、まちのあちこちに見られるようなまちづくりを目指すことが大事だと思います。
相撲は日本の重要な国技であり、これを「ユネスコの無形文化遺産」に登録できれば、国際的にも有名になり、世界の多くの人が関心を持ってくれると思います。そうすれば、世界中の人が衛星放送で相撲を見る日が来るでしょう。
スカイツリーと併せて、相撲の墨田区として、世界的により有名で、魅力的な都市になると思います。そのためには、文化庁の文化審議会に議題として審議してもらう必要があります。
相撲は、最近はいろいろスキャンダルがありました。しかし、日本の国技であり、墨田区の財産ですから、墨田区としても「ユネスコの無形文化遺産」になるように運動をしてはどうかと思いますが、山崎区長にお伺いします。
また、「ちゃんこなべ」というユニークな料理もあります。今、日本料理、特に「すし」は世界的なブームになっています。ニューヨークやロンドンだけではなく、モスクワやアフリカや南米などの国の都市にも日本料理店ができています。「すし」のように「ちゃんこなべ」を世界に売り込むことができれば、世界から多くの観光客がちゃんこなべを食べに両国にやってくるでしょう。「相撲」と併せて「ちゃんこなべ」を世界に売り込んで両国地域の振興を図っていただきたいと思いますが、山崎区長いかがでしょうか。
次に、両国駅の西口の浸水対策に関してお伺いします。
昨年の夏ごろでしたか、いつも利用する両国駅西口に行きました。ところが、大雨のために駅前が洪水のようになっていました。大変驚きました。両国駅の西口には国技館があります。いわば墨田区の顔のような駅です。そこで、雨水がたまって歩道を越えて、駅にある日本料理のレストランに水が流れ込んでいました。店員さんが一生懸命水をかき出していました。レストランも大変な損害を受けたと思います。電車に乗る人も大変困っていて、ぬれるのを覚悟で渡っていく人もいました。
両国には排水ポンプ場もありますから、恐らくは道路の構造に問題があると思います。両国地域の振興のためにも、西口で浸水が起こるのは大変困ります。墨田区としては何か対策をとってきたのか、山崎区長にお伺いします。
次に、墨田区の交通安全対策についてお伺いします。
相変わらず、日本の各地で悲惨な交通事故が起こっています。特に、京都府の亀岡市で起こった交通事故は、通学中の子どもたちが犠牲になり、大変悲惨な事故でした。
私は、今年の3月の予算特別委員会で、交通安全対策、特に学校の通学路の安全対策をしっかりすべきとお願いしました。とにかく、事故が起きてからでは遅いですから、しっかり安全対策をすべきです。
現在、警察庁でも生活道路の最高速度を原則として30キロメートルにする方針です。私も本所地域を歩いて最高速度を調べてみました。蔵前橋通り、春日通りなどの幹線道路を除けば、すべて最高速度は30キロメートルです。しかし、本所地域には全く別の問題があることに気が付きました。それは、本所地域は道路が整備されていて、真っすぐの道路が多いことです。そのため、車のスピードが出やすい構造になっています。
蔵前橋通り、春日通りの間に、外手小学校の前を走っている道路があります。制限速度は30キロメートルです。ただ、道幅が大変広く、道路も直線で大変スピードが出やすい道路です。また、北斎通りと蔵前橋通りの間の道路で、二葉小学校の通学路になっている道路があります。これもスピードが出やすい道です。また、本所地区を南北に走る多くの道路も道幅が広い直線道路です。本所地区では、車のスピードを制限することが事故防止のためには大変大事だと思います。そのためには、道路の幅を狭めることが大事だと思います。
国土交通省は、自転車レーンについて法律を制定することを決めたようです。
自転車専用道路を整備することはなかなか難しいです。しかし、道路にペンキを塗って自転車レーンをつくることは、そんなに難しいことではないと思います。また、予算的にもそれほど掛からないと思います。自転車レーンができて、車の走行する道路幅が狭くなれば、ドライバーがスピードを出しにくくなり、交通安全対策として大変有効だと思います。また、自転車が安全に走ることができると思います。
区民の生命を守る、子どもたちの命を守るためには、まず学校の通学路から整備していただきたいと思いますが、山崎区長のご意見をお伺いします。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまのみんなの党、井上議員さんからのご質問に順次お答えをいたします。
最初に、子どもにやさしい墨田区の実現についてでございます。
まず冒頭に、墨田区民とラパス市民との交流活動に対する応援をとのお話がございました。
本区が都市間交流を行う際の基本的な考え方は、地域特性や歴史、文化等の面において共通点を有するなど何らかの「えにし」があること、その上でまずは民間交流からスタートし、その実績を積み重ねた後に行政同士の交流につなげていくこととしております。このため、ラパス市民との交流を進めるためには、井上議員さんなどが中心となって交流のきっかけづくり、お話にありましたように、子どもの絵の交換などを行っていただくことから始まり、その輪を大きくしていただくことが大切だと存じます。
なお、都市間交流、中でも海外都市との交流を進めるためには、お互いの特色ある文化を理解し、尊重することが極めて重要であると考えます。したがいまして、ボリビアの文化をご紹介いただくとともに、日本の文化についても是非ご紹介いただき、相互の友好交流につなげていければと、そのように考えております。
次に、ユニセフの「子どもに優しい都市づくり」の運動に参加をとのご提案をいただきました。
本区においては、「子どもの権利条約」にある子どもたちの権利を守るという観点から、昨年4月に墨田区人権啓発基本計画を策定し、この中で、子どもの人権課題につき重点的に取り組むこととしております。さらに、墨田区基本計画において、リーディングプロジェクトの一つに子育て環境の整備を位置付け、子どもたちにやさしいまちづくりを推進しているところでございます。
私としては、これらの取組はユニセフの運動とも軌を一にするものであり、本区の地域特性を踏まえた独自の施策展開を積極的に推進すべきであると考えております。
したがいまして、現時点で直ちにご提案のあった「子どもに優しい都市づくり」運動に参加するという考えはありませんが、その趣旨を体してさまざまな活動を推進してまいりたいと存じます。
今後とも、井上議員さんからはユニセフの活動等についてご案内いただければ、私としても更なる子育て支援策の充実に生かしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、「相撲」を中心とした両国地域の振興策についてでございます。
井上議員さんご指摘のとおり、スカイツリーが開業してから、本区には大変多くの観光客が訪れております。このにぎわいを活用し、「国際観光都市すみだ」を目指すためには、豊富な歴史、文化資源のある両国地区の活性化が重要だと考えております。
現在、両国地区の魅力の底上げを図り、にぎわいあるまちづくりを目指すため、両国まちづくりグランドデザインの策定作業を進めております。その中で、先ほどの細田議員さんのご質問にもお答えしたとおり、両国の歴史・文化の視点から、「相撲」は水辺や江戸と並び大事なキーワードとして位置付け、検討してみたいと考えております。
今後、グランドデザインの策定とその実現に向けて、地域の皆さん及び事業者と一体となった取組が必要でございますので、是非ご支援、ご協力をお願いしたいと思います。
次に、相撲がユネスコの無形文化遺産になるよう区としても運動してはどうかとのご提案をいただきました。
相撲は、墨田区の歴史と文化に非常に関わりが深く、本区を代表する文化資源の一つであるため、これを顕彰し未来に引き継ぐことは重要であると認識をしております。
ご提案のありましたユネスコの無形文化遺産の対象は、「口承、いわゆる口伝えによる伝統及び表現」「芸能」「社会的慣習、儀式及び祭礼行事」「自然及び万物に関する知識及び慣習」「伝統工芸技術」の五つの分野がございます。文化庁に確認いたしましたところ、ユネスコの無形文化遺産には、原則として国の無形重要文化財の中から候補が選ばれますが、相撲はこれには含まれていないことから、対象になるかどうかは大変不明であるとの回答をいただきました。
このため、直ちに区が先頭に立って無形文化遺産登録に向けた運動を行うことは難しい面があるということについて、是非ご理解をいただきたいと存じます。
次に、「相撲」とともに、「ちゃんこなべ」を世界に発信することに関してご提案もございました。
「ちゃんこなべ」という料理は、世界に二つと無い本区随一の観光資源である「相撲」と密接に結び付いており、両国界わいには今でも多くの個店が集積し、味を競い合っております。この「ちゃんこなべ」が、今や世界一有名な日本食と言われる「すし」のようにその地位を確立できれば、本区を訪れる強力なきっかけになることが期待できるところでございます。
ご案内の「すし」も、発祥は両国の与兵衛寿司と言われておりまして、江戸の中心地であったこの地域から生まれたものでございます。
したがいまして、同じく墨田の郷土料理と言える「ちゃんこなべ」を相撲と結び付けながら、さまざまな機会を捉えて、国の内外に広く発信することで両国地域の観光振興を図ってまいりたいと考えます。
次に、両国駅西口の浸水対策についてでございます。
区では、台風や近年多発するゲリラ豪雨による都市型水害への対応として、夜間・休日を含め、職員による水防体制を確保しております。また、水害の発生が予測された場合には、道路の雨水ますの点検やパトロール、希望する区民の方々への土のうの貸出しなども行っております。
ご指摘の両国駅西口ロータリーについてでございますが、管理者でありますJR東日本株式会社に確認いたしましたところ、施工時期は未定と言っておりましたが、車道と歩道の境目に排水溝を設置する計画を持っているとのことでございます。
区では、今後とも関係機関との連携を含め、万全の水防対策を講じてまいりたいと存じます。
次に、交通安全対策についてでございます。
本年4月以降、相次いで発生した通学中の事故を受け、本区におきましても、道路管理者、所轄警察署、教育委員会、学校関係者及びPTAと合同で点検を実施しており、ガードレールの設置や路面標示などの是正が必要な箇所につきましては、計画的に改善を進めることとしております。
ご提案いただきました自転車専用レーンの設置によって車道の幅を狭めることにつきましては、車のスピード抑制につながる方策の一つと考えられます。一方で、自転車専用レーンが通常の車両交通の妨げにもなることから、沿道住民の日常生活や経済活動等への影響も考慮しなければなりません。
区といたしましては、そういう観点から、自転車専用レーンを設置する路線の選定につきましては、沿線住民の皆さんのご意見もお聞きしながら、所轄の警察署等と引き続き慎重に検討してまいりたいと考えております。
私からのご答弁は以上でございます。
〔教育長 横山信雄君登壇〕
◎教育長(横山信雄君) みんなの党、井上議員さんからのいじめと登校拒否に関するご質問にお答えいたします。
まず、いじめの認知件数に関してでございます。
議員からご指摘がございました昨年11月の定例会では、いじめの認知件数について小学校1件、中学校4件とお答えさせていただきました。これは、毎月実施しておりますいじめの月例報告において、当時直近の昨年10月1カ月間に認知した件数を申し上げたものでございますが、今回の調査は4月から7月の4カ月間を対象にしており、大津市の事例を踏まえ、全児童・生徒へのアンケート調査を基本として、わずかな兆候であっても確実に把握、報告するよう学校に求めております。これらのことから、過去の調査に比べ数値が増加しているものと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
次に、いじめ対策に取り組んで調査を実施してきたかというお尋ねでございます。
いじめ対策は、未然防止、早期発見、適切な対応を基本としております。日常から人権を尊重するための指導を推進するとともに、教員が児童・生徒の生活実態把握に努め、スクールカウンセラー等による相談機能を活用し、いじめを見つけるための積極的な取組を行うこと。また、万が一いじめが発生した場合は、担任が抱え込むことなく組織一丸となって解決に努めること等を、校長会や副校長会、生活指導主任会などを通して、各学校に指導してまいりました。これに加え、平成22年度より全小学校、中学校が児童生徒へのアンケートを実施し、これまで以上に児童・生徒の視点に立った実態把握に努めるようにしております。
今回確認された「いじめ」と「いじめの疑い」についてすぐに調査し、報告をするべきであるとのご要望でございますが、今回認知された「いじめ」と「いじめの疑い」すべてについて、夏季休業期間中に各学校の管理職から詳細な聞き取りを実施しました。現段階までに、いじめについては、解消15件、解消見込みが2件、継続指導中が19件となっております。また、「いじめの疑い」についてはいずれも態様が軽微であり、既に解消している事例がほとんどでございましたが、引き続き「いじめの疑い」についても各学校に状況を注視するよう指導したところでございます。
なお、今後も継続的に同様の調査を行ってまいりますが、適宜、議会に報告させていただく予定でございます。
次に、墨田区の登校拒否児童・生徒数及びその原因についてのご質問にお答えします。
昨年度の不登校児童・生徒は155名であり、本年度は7月時点で欠席日数が30日を超えている、いわゆる不登校の児童・生徒数は、小学校が15名、中学校が64名でございます。また、その原因については、「友人関係のトラブル」「非行」「情緒的混乱」「怠学」などが複合しているものが多く見られます。
現在のところ、いじめが直接の原因で不登校に至ったという報告はありませんが、昨年度では「友人関係のトラブル」が10件報告されており、当該の児童・生徒がいじめと捉えている場合もございますので、学校などには、いじめもあり得るのではないかとの視点を持った対応を求めているところでございます。引き続き、不登校児童・生徒の心のケアに努めるとともに、学校、教育委員会、関係機関がより一層連携して対応してまいります。
今後も教育委員会としては、いじめの問題について、すべての学校、教職員が被害児童・生徒を守るために、徹底して解決に取り組むよう指導するとともに、児童・生徒に対しては、道徳教育、心の教育を通して、命の大切さや、人権を尊重し相手の気持ちや立場を考えて行動ができる人間を育てるために、指導の充実を図ってまいりたいと考えております。
以上で井上議員さんへの答弁を終わらせていただきま