2番(井上ノエミ君) 新しいすみだの井上ノエミです。
冒頭、今回、シリアにおいて亡くなった湯川遥菜さんと後藤健二さんのご冥福を心からお祈りしたいと思います。既に日本政府もテロ対策を強化していくようですが、日本国内も決して安全ではないと思います。
私は1993年にニューヨークの国連で働いていました。2月26日に世界貿易センター「World Trade Center」に行きました。ちょうどそのときに、ビルの地下駐車場で爆弾が爆発するテロ事件がありました。幸い、そのときはビルの構造には大きな影響がなかったのですが、ビルからは私も退去をしました。
東京スカイツリーも東京では大変目立ちますから、テロの対象になる可能性があると思います。墨田区としても警察と連携して、テロ対策をとっていく必要があると思いますので是非よろしくお願いします。
それでは、質問に移らせていただきます。
まず、山崎区長が今期で引退されることを表明されましたが、16年間という長い間、墨田区長として区政をリードされたことに心から敬意を表したいと思います。
区長の仕事は区民25万人の生命、財産を守り、区民が必要とする住民サービスを提供していく大変な仕事です。このような重責を負われてきたわけですから、この16年間にはいろいろなご苦労があったことと思います。特に、財政面では大変な時期もあったと思います。この16年間を振り返って、一番ご苦労されたことは何かお伺いします。
また、そのようなご経験を通して学んだ教訓があれば、是非教えていただきたいと思います。
次に、住宅の火災予防についてお伺いします。
昨年の12月に私の知人のお宅で火災が起こりました。2階が燃えましたが、幸い、どなたもけがをすることはありませんでした。古い住宅でした。火事の原因は漏電でした。火災警報器は付けていませんでした。
東京都の火災予防条例によって、平成22年4月から住宅用火災警報器の設置は義務化されています。消防庁の昨年のデータによれば、東京都内では85%の住宅は火災警報器を付けています。墨田区でも設置は相当進んでいると思います。しかし、私の知人のように高齢者の家庭では、設置していない住宅もまだ残っています。火災警報器の値段は一つ2,000円ですが、それぞれの部屋や階段に付ける必要があります。漏電の起こりやすい古い住宅に住んでいる方は年金暮らしの高齢者の方が多いです。経済的な理由で設置が難しいケースも多いと思います。もう少しこの支援を増やさないと、火災が起こりやすい古い住宅での設置が進まないと思います。
そこで、山崎区長にお伺いしますが、墨田区における住宅用火災警報器の設置率は現在何%ぐらいでしょうか。また、これまでの住宅の火災警報器の設置活動を振り返って、どのように評価されますか。また、今後、改善すべき点についてもご意見をお伺いします。
次に、環境ふれあい館についてお伺いします。
環境ふれあい館は小さな施設ですが、日本でただ一つの雨水の資料を集めた場所です。大変ユニークな施設です。子どもたちの環境教育の場所としても大変大事な施設です。また、運営においてもNPOが大変安く運営しています。年間1,000万円程度です。墨田区の施設の運営方法としても大変よいモデルだと思います。私は是非この運営モデルも含めて、環境ふれあい館を大事にしていくべきだと思います。墨田区では雨水利用東京国際会議も開催されました。また、環境問題にも熱心に取り組んできました。環境ふれあい館は墨田区の環境への取組の目玉として、是非残していくべき施設と思います。
そこで、山崎区長にお伺いしますが、これまでの墨田区の環境への取組についてご感想をお伺いします。また、今後の環境ふれあい館のあり方について、区長のお考えをお伺いします。
次に、観光対策についてお伺いします。
大相撲の初場所が白鵬の優勝で終わりましたが、毎日満員御礼で大変な相撲人気でした。両国地域にとってはとてもうれしいことです。この相撲人気のために多くの観光客が両国に来て、帰りにはちゃんこ鍋を食べて帰るでしょう。相撲はとても大事な観光資源です。しかし、両国に来る観光客が実際に相撲の稽古を見たいと思っても、相撲部屋の中で朝稽古を一般に開放している部屋は少ないです。錦戸部屋や高砂部屋などだけです。しかし、その場合でも電話で予約をしなければなりません。外国人観光客にとっては、簡単ではありません。また、外国人が団体で押しかけてうるさくして、力士に迷惑をかけることもあるようです。オリンピックが近くなり外国人観光客が増えてくると、相撲部屋でトラブルが起こる可能性もあると思います。
私はその解決策として、相撲協会が1週間に数回、国技館の中の相撲教習所で稽古の見学会を開くのが一番よいと思います。相撲教習所には土俵が2面ありますから、多くの観光客が入れます。入場料を取ってちゃんこ鍋を食べてもらってもいいと思います。オリンピックが近くなって観光客が増えれば、回数を増やしてもらえばいいと思います。せっかく両国に来てくれるなら相撲の稽古も見られる、そんなおもてなしのアイデアです。
そこで、是非山崎区長にアドバイスをお願いしたいと思います。山崎区長は相撲協会とのパイプをお持ちだと思いますが、このようなアイデアを実現するためには相撲協会とどのように交渉すればよいでしょうか。できれば是非区長の任期中に、相撲協会にこのアイデアを話していただければ実現できると思います。山崎区長、いかがでしょうか。
次に、1月の議員研修会での新潟県見附市の久住市長の講演に関連して、山崎区長にお伺いします。
私はこの講演を聞いて大変感動しました。以前、私も決算特別委員会でソーシャルキャピタルの話をしましたが、まさしく久住市長はソーシャルキャピタルをコアとした政策を実施して実績を上げています。自治体はどこも予算がないです。お金のキャピタルはなくなってきています。だからこそ、ヒューマンキャピタルを活用したまちづくりが必要です。特に、健康分野では要介護率や医療費を実際に下げています。教育分野で学力と体力を向上させて、不登校を減らしています。つまり実際に数字で見える結果を出しています。見附市は人口4万人ですから、墨田区よりはずっと小さいです。結果を出しやすい面はあると思います。しかし、墨田区も多く学ぶ点があると思います。
そこで、行政のエキスパートとしての山崎区長にお伺いします。
見附市の経験を墨田区としてどのように生かしていくべきか、具体的にどの分野に取り入れることができるでしょうか。是非山崎区長のアドバイスをお願いいたします。
最後に、横山教育長に墨田区の小学校の児童の読み書き計算などの基礎学力についてお伺いしたいと思います。
以前からよく大学生の基礎学力が落ちていることが話題になります。九九のできない大学生やアルファベットを知らない大学生がいるということです。私は子どもたちに基礎学力をしっかり教えてこなかった学校の責任が大きいと思います。足立区では今年度から基礎学力に不安がある小学校3年生、4年生に、マンツーマンで指導することを始めると新聞報道されています。小学校3年生、4年生のときに算数の九九がしっかりできないと算数に一生つまずくことになります。
そこで、墨田区の児童、4年生から6年生で算数の九九に不安のある子どもは何%ぐらいいるでしょうか。また、国語であれば、小学校の低学年の漢字が書けない、読めない児童の割合はどの程度でしょうか。
また、墨田区としてチャレンジ教室などの対策を実施しています。この対策が基礎学力の向上にどの程度役に立っているのかお伺いします。
これで私の質問を終わります。ありがとうございます。
〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまの新しいすみだ、井上議員さんからのご質問に順次お答えをいたします。
最初に、16年間の区長任期中に最も苦労したことについてお尋ねがございました。
私は区長に当選した1期目から4期16年に至るまで、どの任期におきましても数々の困難に遭遇し、誠心誠意その克服に努めてまいりました。その中で最も苦労した事例でございますが、何と申しましても1期目に最優先課題として財政再建に取り組んだ時期かと存じます。その当時の財政状況をひも解きますと、起債残高は700億円を超え、財政調整基金や公共施設整備基金残高は10億円を下回るなど大変厳しいもので、1期目は学校適正配置での統合新校を除き、新たな施設建設を凍結し、さらには職員定数の大幅な削減など、行財政改革に全力で取り組みながら収支均衡を目指し、真に苦労した4年間でございました。その結果もあって、目標より1年早く収支均衡を果たし、2期目以降の新基本構想による本区の将来像の実現を目指す基本計画事業に取り組むとともに、東京スカイツリー誘致にもつながったものと思います。
この経験を通して学んだことは、区の実施する行政サービスには必ずその受け手となる区民や団体があるわけでございますので、その方々に対し、いかに納得してもらうことができるか、言い換えれば、行政の説明責任を果たすことができるかに尽きるのではないかと、そのように存じております。
次に、住宅用火災警報器の設置についてでございます。
建物火災による死者数の約9割を占める住宅火災で、その半数以上が65歳以上の高齢者であるという実態があります。今後も高齢者人口は年々増加することから、住宅について一層の防火対策が必要であると認識をしております。
墨田区内における住宅用火災警報器の設置率につきましては、調査手法等が若干異なるため井上議員さんご指摘の都内のデータとの単純比較はできませんが、本所・向島両消防署が行った一般住宅の防火防災診断では、平成26年11月時点で、本所署管内では80%、向島署管内では75.9%と聞いております。
これまでの火災警報器設置促進策といたしましては、平成22年4月の東京都火災予防条例改正による設置義務化に向けて、本区におきましても平成20年度、21年度にその周知・啓発に取り組んだところでございます。この一環として、高齢者のみ世帯、障害者を含む世帯のうち、申込みがあった7,401世帯に住宅用火災警報器を設置しており、普及に大きく寄与したものと認識をいたしております。
現在の取組としましては、ご指摘のありました65歳以上の高齢者のみの世帯に対し、在宅高齢者の生活の安全を確保する観点から住宅用防災機器の給付を実施しております。本事業では火災警報器に限らず、自動消火装置、ガス安全システム等の設置についても給付を行っているところでございます。
現在、本区における火災警報器の設置状況は80%程度であることから、申請件数は多くはありませんが、未設置の高齢者世帯に向けましては、今後もさまざまな機会を通じて設置勧奨に努めてまいる所存でございます。具体的には東京消防庁と連携を図りながら、防災フェアや総合防災訓練、地域の防災訓練などでの啓発を行ってまいりたいと存じます。
次に、本区の環境への取組に関する私の感想と今後のすみだ環境ふれあい館のあり方についてでございます。
初めに、環境への取組についてでございますが、本区では平成18年に「環境基本条例」を制定し、公害対策、緑化の推進、ごみの減量など、総合的に環境施策を進めてまいりました。そして、20年3月に「墨田区地球温暖化対策 地域推進計画」を策定して、温暖化防止を促進する助成金事業を開始するなど一定の成果を上げております。さらに、21年10月には「環境にやさしいまち すみだ」を実現するため、「すみだ環境区宣言」を行い、東日本大震災後の省資源・省エネルギーの普及に向けた取組も積極的に進めてまいりました。
中でも、本区が先進的に取り組んでまいりました雨水利用につきましては、環境にやさしい施策として次第に各地の自治体にも広がり、こうした官民の動きが昨年5月の「雨水の利用の促進に関する法律」の施行につながったものと自負をしております。
今後も環境問題に対処していくには、行政、事業者、そして区民の皆さんが具体的に行動していくことが何よりも大切でございますので、引き続き「環境にやさしいまち すみだ」に向けた取組を強化してまいります。
次に、今後のすみだ環境ふれあい館のあり方についてでございます。
これまで、児童・生徒の皆さんをはじめ、区民の方々がさまざまな環境を学ぶきっかけを提供できる施設として、また、環境ボランティアや区民の自主的な活動を側面から支援する場となるよう、施設を運営してまいりました。しかしながら、このすみだ環境ふれあい館は建物が耐震強度を満たしていないことから、平成27年度末をもって建物の利用を終了することになります。雨水利用の推進をはじめ、温暖化対策や資源循環型社会の実現、緑化の推進に向けた取組は事業の形態、運営体制も含めて区としてしっかりと対応していく必要があると考えます。いずれにいたしましても、今後のすみだ環境ふれあい館のあり方につきましては、次の墨田区基本計画を策定する中で、改めて検討していくことになりますので、ご理解をお願いいたします。
次に、相撲部屋を活用した観光施策についてでございます。
改めて言うまでもなく、国技館、相撲部屋、ちゃんこ料理を含め、相撲は世界に誇れる本区の重要な観光資源の一つでございます。現在、墨田区観光協会が全国から修学旅行を誘致する際に、日本相撲協会と連携して、相撲教習所の土俵で若手力士に挑戦することができたり、国技館の土俵や支度部屋などを見ることができる「相撲教習所ツアー」をメニューの一つとして売り込んでおり、毎年受入れの実績があると聞いております。今後、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向けて、東京を訪れる外国人観光客の増加が見込まれるところであり、相撲は観光客を本区へ誘客するための重要な観光資源の一つでありますので、ただいま井上議員さんからご提案のあったことを含め、日本相撲協会や墨田区観光協会とも連携して、相撲を活用した観光振興を更に展開する必要があると考えておりますので、ご理解をお願いいたします。
次に、新潟県見附市長の講演に関してのお尋ねがございました。
見附市長の講演につきましては、直接お聞きはしてございませんが、講演の前に私のところに訪問いただき意見交換をさせていただきました。その中で、ソーシャルキャピタルの考えもお話がありましたが、地域とのネットワークや人と人とのつながりにより、まちの治安、健康増進、教育などの質を高めていくことは非常に重要であり、行政運営においても地域とのネットワークやさまざまな活動を支援していく必要があると考えます。
本区においては、町会や自治会が地域においてさまざまな活動を行っており、また、最近では地域で活動するNPOも多く育っていることから、これらの自主的な活動といろいろな場面で連携・協力を行っていく必要があります。
私といたしましても、このような多くの地域活動を通じてのソーシャルキャピタルの高まりが、今後地域のまちづくりや地域経営の柱になると認識いたしております。
以上で私からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長 横山信雄君登壇〕
◎教育長(横山信雄君) 新しいすみだ、井上議員さんの質問にお答えします。
教育委員会では確かな学力を身に付けるため、基礎基本の徹底を図るとともに、学力低位層への指導の充実を図ることを重点課題として取り組んでおります。
ご指摘にありました、まず、読む力、書く力などの基礎学力については、教育委員会におきまして重点共通課題として捉え、全小・中学校に特に力を入れるよう指示しております。また、算数は系統性の強い教科であることから、低学年からつまずいてその後の学年に影響を及ぼさないように、特に基礎基本を重視しているところでございます。
お尋ねがありました小学校算数の九九は小学校2年生で学習し、区の学習状況調査では3年生の段階で九九の問題を出題し検証しておりますが、平均して97%以上の正答率でございますが、高学年になった段階での統計的な数値はございません。しかしながら、高学年になって九九が定着していないことがないよう、まず2年生の段階において授業の中で歌やリズムを使って暗唱するなど工夫して学習したり、保護者との連携で家庭の日常生活の中で暗唱したりするなど、確実に定着を図る取組を実践しているところでございます。
また、小学校低学年の漢字が定着していない児童の割合についてですが、直接調査したものがございませんのでご理解をいただきたいと思います。
また、放課後補習であるチャレンジ教室は、昨年度から各学校で従前から実施する放課後学習に加えて、基礎学力の定着、学習意欲の喚起、学習習慣の確立のため、教育委員会が主催し、習熟度別少人数指導の補習教室として実施しております。今年度、これまでに延べ253人が受講し、その成果測定では、受講後の平均点が受講前に比べて21.9点の上昇となっております。意識面においても学習意欲が高まったという結果が出ております。
こうしたことから、すみだチャレンジ教室は子どもたちの学習意欲の喚起や学習遅滞の解消に一定の成果があったものと捉えておりまして、今後も引き続き本事業を推進してまいりたいと考えております。
以上で井上議員さんへの答弁を終わらせていただきます。